2010年07月21日 (水) | 編集 |

名称:サンファン(San Juan) 日本語版
発売元:Alea
(日本語版:メビウス ゲームズ)
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳以上
ゲームデザイナー:アンドレアス・ザイファルト
主な受賞歴:2004年 ドイツゲーム賞 2位
2004年 アラカルトカードゲーム賞 1位
ウチでの評価:★★★★★★★★☆☆(8点:お気に入り!!)
満足点:カードゲームの手軽さだが、建築ゲームの充実感もある
箱を入れ替えればコンパクトになり、場所を選ばない
分かりやすい日本語化
不満点:取り得る戦略の幅はあまり広くないと思う
直接的な攻撃はできないので、逆転などはカード運によるところが大きい
妻コメント「相手に邪魔されないし、手なりでサクサク進められるので、これは好き」
『サンファン』は、名作『プエルトリコ』を作者ザイファルト本人がカードゲーム化したものですが、ここで紹介するのは、メビウスゲームズから発売されている日本語版です。
ドイツゲームを日本語にすると、いかにも翻訳したなぁ、という感じの分かりにくい文章になっていることも良くあるのですが、さすが老舗の代理店メビウスさんだけあって、とても自然で遊びやすい仕上がりとなっています。
パッケージの裏表。しっかりと日本語化されているので裏まで紹介したくなります。


中身。箱は大きいですが、得点用紙と鉛筆が付属してあるので、それが大部分を占めています(汗)
実態はカードとパネル数枚なので、箱を入れ替えれば持ち運びも便利です。

マニュアルは大盤ですが、基本的なところ(最初に配るカード枚数など)だけ覚えれば、後はカードに記述してあるので、特に持ち運ぶ必要もありません。
◎ゲームの目的
プエルトリコ最大の都市『サンファン』。
この発展途上の街に、より多く価値の高い建物を建築した方が、偉大な総督として称えられます。
建築する資金を捻出するためには、特産品を作って売却する等、あなたの高い経営手腕が問われます。
◎ゲームのルール
このゲームでユニークなシステムは、なんと言っても“バリアブルフェーズ”です。
サンファンでは「建築士」「監督」「商人」など5つの職業があるのですが、他のゲームでは「Aプレイヤーが建築士、Bプレイヤーが商人…」などのように一つずつ職業を選択するところ、このゲームは「Aプレイヤー(親:スタートプレイヤー)が建築士を選んだら、続くBプレイヤー、Cプレイヤーも強制的に“建築士”を行うこと」が決められています。
このルールを読むと、たいていの人は、
「職業を選んでも、他のプレイヤーが同じ能力を公使できるなら意味ないのでは?」
と思うのですが、選択者には以下の利点があるのです。
(1.)選択者の特権がある(建築士を選んだ人は、コストを1つ節約して建築できる、等)
(2.)相手の様子を見て、職業を選択できる
上記のうち、(1.)は明確ですが、本当に実力差ができるのは(2.)の方で、例えば、自分が売ることができる特産品があって、相手にはない状況で「商人」を選択すれば、自分だけが特産品を売却でき、相手はパスをせざるを得ないことになります。
この細かい積み重ねが、勝負を有利に運ぶのです。
また、このゲームのもう一つの特徴としてはコインのようなお金チットが存在せず、支払いは全て手持ちの建物カードで行います。
例えば、5枚の建物カードを持っていて、そのうち「コスト3:知事官舎」を建てたい場合、残りのカードのうち3枚を捨てる(支払う)ことによって建築することができます。
これにより、どのカードを残して、どのカードを支払いに使うか、といったジレンマが発生する訳です。
このゲームは文字による説明より実際にプレイした方が分かりやすいので、今回はリプレイ形式で細かいルールは紹介していきたいと思います。
◎リプレイ
建物「インディゴ染料工場」と、山札から4枚の建築カードを引いてスタートします。
・スタートプレイヤー:妻の手札(赤いカード台)
ウチでは、中央に「建築士、監督、商人、参事会議員、金鉱堀り」の5つの職業カードを置いてます。

・私の手札(青いカード台)

[ラウンド 1]
まず、妻が「建築士」を選択し、カード1枚を捨てて「井戸」を建設します。
(「井戸」はコスト2ですが、建築士を選んだ人はコスト1を節約できるので、カード1枚を捨てればOK)
選択済の職業は手元に置いておき、ラウンドが終了するまで他プレイヤーは選択できません。

ちなみに一番下にある「総督」カードはスタートプレイヤーを示すマーカーです。
こうなると、後番の私も自動的に「建築士」になるので、カード2枚を捨てて、コスト2の「クレーン」を建設します。
ちなみに紫の建物カードは特殊効果があるカードで、それ以外のカードは特産品を作る“生産設備”です。

次に私の親番ですので、「金鉱堀り」を選択。
この職業は特殊で、自分だけがカード1枚を補充できます。選択したい職業が何もない時に便利です。

妻の親番で「参事会議員」を選択。
2枚(親は5枚)のカードを引き、そのうち1枚だけを手元にストックできる職業です。
妻は強力カードの「知事官舎」を引いたので、それをストックするようです。

私は2枚引いて、両方とも序盤では微妙なコスト5のカード…。「図書館」を捨てました。

[ラウンド 2]
2人用では、「Aプレイヤー・Bプレイヤ・Aプレイヤー」の順番(リプレイでは、妻・私・妻)で親を行うと1ラウンド終了で、職業カードがリセットされて、次はBプレイヤーがスタートプレイヤーとなります。
3・4人では、一人ずつ職業を選択すると、1ラウンド終了です。
2ラウンド目。
スタートプレイヤーの私が「建築士」を選択し、「タバコ保存所」を建設。妻はカード不足でパス。
妻は「金鉱堀り」を選択。
次に私は「監督」を選択。
この職業は、特産品を作成できます。
親は2つの生産設備で特産品を作れるので、「インディゴ染料工場」と「タバコ精製所」両方に、作成済みの印として、山札から裏返しにしたカードを置きます。

一方、妻は1つの生産設備しかないので、「インディゴ染料工場」のみが作成済み、です。
[ラウンド 3]
まず妻が「建築士」で、「知事官舎」を建設。
このカードは強力で、「参事会議員」時に1枚ではなく、2枚カードをゲットできます。
一方、私はカード不足で建築できず。
次に私が「商人」を選択。
特産品を売りますが、その売却価格は縦長のマーカーパネル(写真右)を引くことにより決定します。
今回は「インディゴ」1、「タバコ」2なので、合計3枚のカードをゲット。
妻は「インディゴ」1のみをゲットしました。


私も念願の「知事官舎」をゲットしました!
…以後、このようにゲームを進めていきます。
○悪手の例
その後、私が「監督」を選び、前のように1人だけ多く特産品を作ろうとしたら、妻は「水道橋」を建てていたので、その効果で相手も+1の特産品を作れていました!
しかも「井戸」の効果で、“2つ特産品を作ると、カード1枚追加”があるので、自分が職業を選択したのに、相手の方がカードゲット枚数が多いという結果に…。

トホホ。相手の建築した建物は良く覚えておきましょう。
○礼拝堂
紫カードには「礼拝堂」という特殊な建物がありますが、これはラウンド開始時に、不要なカードを1枚下に埋めることにより、終了時の勝利ポイントが1つアップするという強力なカード。
今回は妻がゲットし、私のところには来ませんでした。

ちなみウチでは、礼拝堂の下にカードを入れることを「裏金」と呼んでいます…(実際は“お祈り”です)。
[最終結果]
どちらかが建物を12枚建築したら終了します。
今回は、妻が12枚を建築し終了。
・妻から見たところ

・私から見たところ

得点は建設した建物カードの下に「勝利ポイント」が書かれているので、それを合計します。
今回は、互いに超強力な「宮殿(4勝利ポイントにつき、1勝利ポイント追加)」を建て、私が「市役所(紫建物1つにつき1勝利ポイント)」、妻が「ギルドホール(生産設備1つにつき2勝利ポイント)」を建てる、といった高得点なプレイ状況。
「凱旋門」+「記念碑3つ」の8点コンボを決めた私がかろうじて勝利!
妻がもっと早く礼拝堂を引いていれば危なかったですね。
◎総評
『プエルトリコ』をやりこんでいるプレイヤーからは、「相手を妨害できる手段が少なくソロプレイ感が強い」「カードの引き運が強い」という不満が聞かれる本作ですが、プエルトリコをプレイする前に遊んだ私たちにとっては、とても面白いカードゲムに感じました。
確かに、建物によっては強弱がはっきりしており、引き運によって戦略(できること)がほぼ決まってしまう感はありますが、“気軽にできるカードゲーム”という位置づけとしては、逆にソロプレイ感や、強い運要素は、プラスに働いていると思います。
それでいて、短時間ながらも、建築の前向きな楽しさや、ゲームをやった充実度を感じられるので、軽いゲームが好きな方には、オススメな一品です。
完全日本版ですし、直接的な妨害行為もないので、初心者にも安心してオススメできますね。
ただ一つ問題なのは、色々ある建物の効果を覚えることですが、ウチらは取りあえずマニュアルをろくに読まず、ぶっつけで「こんなカードがあるのか、強い!」とか「そんなカードあるの?ずるいなぁ」といいながら2~3回プレイしたら覚えたので、いきなりプレイしてみるのも手だと思います。
点数は、貴重な「2~4人どの人数でも面白いゲーム」で「気軽に持ち運びもでき」「妻も気に入っている」ということで、文句なく8点を付けたいと思います!
次回は名作『プエルトリコ』を紹介します。
ただ、二人用プレイの暫定評価となってしまいますので、そのあたりはご容赦を…。
この記事へのコメント
どこかのレビューで2人でも面白いと評価されてたので
いつかプレーしてみたいなぁと思ってた作品です。
読ませてもらって、重すぎず軽すぎず、システムもウチの
好みなので購入は時間(と財布)の問題でしょう(笑)
いつかプレーしてみたいなぁと思ってた作品です。
読ませてもらって、重すぎず軽すぎず、システムもウチの
好みなので購入は時間(と財布)の問題でしょう(笑)
>タカさん
ウチでも2人がメインですが、これは面白いですね!
バリアブルフェーズや、カードのみで売買できるシステムもスマートですし、内容の重さもちょうどいい、色々な意味でバランスが取れた良ゲームだと思います。
拡張セット『アレアの宝箱』には、サンファン拡張カードもあるのですが、日本語版ではないし、「ノートルダム」「魔法にかかったみたい」「ドラゴンイヤー」「ルイ14世」の4作品は持ってないので、どうしても買う意欲が…。
サンファンだけ日本語化して別売りは流石にないだろうなぁ。
ウチでも2人がメインですが、これは面白いですね!
バリアブルフェーズや、カードのみで売買できるシステムもスマートですし、内容の重さもちょうどいい、色々な意味でバランスが取れた良ゲームだと思います。
拡張セット『アレアの宝箱』には、サンファン拡張カードもあるのですが、日本語版ではないし、「ノートルダム」「魔法にかかったみたい」「ドラゴンイヤー」「ルイ14世」の4作品は持ってないので、どうしても買う意欲が…。
サンファンだけ日本語化して別売りは流石にないだろうなぁ。
2010/07/21(水) 10:55:07 | URL | ぐんま #eL404qMA[ 編集]
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