2010年06月03日 (木) | 編集 |

名称:グラナダ(Granada)
発売元:Queen Games
プレイ人数:2-6人
対象年齢:8歳以上
ゲームデザイナー:ディルク・ヘン
ウチでの評価:★★★★★★★☆☆☆(7点:面白い!)
満足点:建物タイル(特に水路)が綺麗
水路を繋げていくのが楽しい
単純なシステムに見えるが、回数を重ねるたびに新しい発見がある
不満点:アルハンブラ+αなので、慣れないとちょっと内容が重い
システム上、同じ建物が多くなるので街作りとしては個性が弱くなる
国内では多分、未流通
妻コメント「重くて単調なのでツラい…と思ったけど、慣れてくると面白い。でも私的には6点かな」
2003年度ドイツゲーム大賞『アルハンブラ』の派生作品。
名作と評判の『アルハンブラ』ですが、私は「圧迫感のある“壁”の絵柄が好みではない」という理由で購入を渋っていました。
しかし、アルハンブラは欲しい…、と悶々としていたところ、“壁”の役割が“水路”に変更された『グラナダ』が海外で発売となり、「これが求めていたものだ!」と勝手に思いこみまして、ドイツアマゾン(今のところ国内未流通なので)で買うことにしました。
◎外箱

到着してみると箱がデカイ。31x22x10で厚みがあり、ゲーム置き場に困っているウチにはちょっと困るサイズ。

ただ、中身は得点ボード、通貨カード、建物タイルなど充実した内容。底上げもありません。納得の大箱。
写真では分かりにくいですが、タイルを入れて引くための黒い袋もあります。
◎ゲームの概要
通貨カードで、建物(市場・公園・病院など)タイルを購入して、自分だけの街を構築、拡張していきます。
決算になった時に、それぞれの建物を他プレイヤーより多く集めていると点数が入り、計3回の決算の合計で勝敗を決めます。
◎ゲームの進め方
このゲームのポイントは、4種類の通貨単位(グルデン、ドゥカート、デナール、ディルハム)がある点。
「建物売り場」にはそれぞれの通貨に対応した物件が置いてあり、その通貨カードでしか決して買うことは出来ません。
ただし、通貨は払いすぎてもお釣りは返ってきません。例えば5の建物に、7のお金カードを支払ってもお釣りはナシです。
売買交渉で損をしたというイメージでしょうか…。金返せ!(笑)
逆に通貨をちょうど払うと、もう1回手番ができる、という嬉しいボーナスがあります。
よって、このゲームでは「いかにちょうど良い金額で効率よくお買い物できるか?」がいう技量が重要になってくるわけです。
具体的にプレイして説明します。
最初は通貨カードの山札をめくり、合計が20になるまでがスタートの持ち金となります。
あと、街の中心として「アルハンブラ宮殿」タイルが1枚、配られます。

このボードの左側が通貨カードの山札置き、右側が建物売り場、周囲の道が得点トラックになっています。
ボードが大きいのでウチでは座卓の下に置いてプレイしています。
建物売り場には、黄色(グルデン)・緑(ディルハム)・橙(ドゥカート)・青(デナール)の通貨、それぞれで買える建物が置かれてあります。
私には通貨マークの緑と青が微妙に見分けづらい…。
自分のターンでは以下3つのうち、どれかの行動を行うことができます。
(1.)建物を買う
建物を買ったら、自分の街につなげることができます。
建物のつなげ方は「土地が繋がるようにパネルを置く」のが基本です。

図では、「宮殿」タイルの右側に、価格2で買ったPark(公園)をつなぎました。
便宜上パネルの名前は、色と価格を後ろにつけて「公園(緑)2」のように呼ぶことにします。
パネルをつなげるルールには「水路の向かいは水路でなくてはならない」「パネルを置いた時点で離れ小島になってしまうのはNG」など『アルハンブラ』シリーズではお馴染みのルールがありますが、ここでは割愛します。
最初は水路が水色のため見えにくいかな?と思いましたが、実際プレイしてみると明るいカラーでとても分かりやすいです(座卓が白だからかもしれませんが)。
「水路の向かいは水路」というルールも壁よりは直感的に理解できるように感じます。
なにより、水の都ができていく様子は美しくて、とても楽しい!
パネルには裏と表があり、地形こそ同じですが、建物は異なるものが描かれています。


上の例では、「住宅地(黄色)12」の裏が「学校(オレンジ)13」になっており、これは任意の“同じ通貨単位”で3以上を出す(これもお釣りナシ)ことにより、裏面を使うことが出来ます。
もし、裏が自分が集めている建物ならば、このオプションを選択するのが有効ですね。
裏の色はパネルの右下にある、めくりマーク(三角)の色によって判別することができます。
…実は最初、説明文を読み飛ばしていたので、この部分に2人とも気づかずに、確認するたびにタイルを裏返して「面倒だなぁ」と文句を言っていました(恥)
もし繋げることができなかったり、保留しておきたい場合は「建築予定地」にいったん置いておくことができます。
この時点で、タイルは表と裏のどちらかの建物を使うかを決める必要があるのですが、「建築予定地」の場合は、無料で裏にできる特典があります。
なので「裏にしたいけど、ちょうどいい通貨がない場合」は、裏にして自分の「建築予定所」に置いておく方法も有効かもしれませんね。

この場合、「学校(オレンジ)7」は、まだどこにも繋げないので「建築予定地」に置いておきます。
「建築予定地」はボード上(四隅と上下中央)にあるのですが、ウチでは面倒なので、そのまま座卓の端に置いています。
(2.)通貨を取得する
建物を買うお金がなかったら、貨幣置き場にある5枚から1枚を選んで取ります。
ここで、もし「合計が5以下」の通貨があるならば、複数の貨幣を取得することができます。

上写真では、黄色(グルデン)2と、橙(ドゥカート)2の2枚を取ることができます。
このゲームは、ちょうど良い金額を払いたいゲームなので、少額の通貨は調整用として、高額の貨幣よりも価値が出てくる場合もあります。
(3.)「建築予定地」にある建物を、街に追加する
「建築予定地」に建物がある場合、それを街に追加することができます。
前回の例で「建築予定地」に置いた「学校(オレンジ)7」ですが、先に「学校12」を置いたことによって接続可能になったので、早速、つなげることにします。


また「既存のパネルと置き換える」こともできます。
以下の図では、「病院(白)2」を「学校(オレンジ)4」と置き換えています。


置き換えた「病院(白)2」は、代わりに「建築予定地」に置かれます。
上記(1.)で「ちょうどの通貨」で建物を買った場合は、上の(1.)~(3.)のうち、いずれかをもう1回行うことが出来ます。
ちょうどの通貨で買い続けた場合は、更に連続で手番ができるので、強力ですね。
◎得点(決算)
1回目と2回目の決算はお金カードの途中に「決算」用のカードがあり、それを引いたタイミングで決算が行われます。
スタートアップではお金カードを5山に分けて、その2番と4番の山に「決算」カードを入れるので、だいたい決算が来る時期は予想できるのですが、正確には把握できないので、その時期が近づくと緊張感があります。
下写真のように、「A」カードがでると1回目の決算、「B」カードがでると2回目の決算です。

最後の3回目の決算は、建物タイルが切れて、売り場に4枚出せなくなった場合に行われます。
計算方法は『アルハンブラ』とは変わっていて、それぞれの建物の「全プレイヤーにおける総数」が得点になります。
例えば「学校」を、Aプレイヤーが3枚、Bプレイヤーが4枚、Cプレイヤーが1枚集めていたら、「学校」の価値はその合計の“8点”ということになります。
これを踏まえて、
1回目の決算では、1番目に多い人がx1(上記例なら、Bプレイヤーが8x1=8点)の点数を取得します。。
2回目の決算では、1番目に多い人がx2、2番目に多い人がx1の点数(上記例なら、Aが8x2=16点、Bが8x1=8点)。
3回目の決算では、1番目に多い人がx3、2番目に多い人がx2の点数、3番目に多い人がx1の点数を得ます(上記例なら、Aが8x3=24点、Bが8x2=16点、Cが8x1=8点)。
最後の決算点数が一番高いので、最後まで勝敗が分からないシステムになっている訳ですね。
また、決算では建物の他に「水路をどれだけ繋げるか」というボーナス点もあります。
例えば、以下の写真では、水路の辺が6本あるので、「6点」のボーナスが入ります。
もし、他に水路があっても「一番長い水路」だけが点数になるので、それは点数には考えません。

他にも「内陸の水路は点数に含めない」などのルールもあるのですが、ちょうどいい写真を撮り忘れたので省略させてもらいます(汗)
◎最終結果

上が私の街、下が妻の街です。左にあるパネルの列は、2人プレイの時だけ使用する“ディルク”というダミープレイヤーキャラクターです。
最初と1・2回の決算時に、ランダムにパネルを引くだけなのですが、場合によっては邪魔な存在になります。
水路ボーナスがないので、それほど強くはないはずなのですが、油断していると結構負けてかなり悔しい思いをします(笑)
今回は、“ディルク”が紫の図書館を取りすぎですね…。
また、得点方法でピンときた方もいるでしょうが、「全体のパネルが多いほど高得点になる」ので、“ディルク”が集めている建物を一緒に集めることで、逆に高得点を狙うこともできます。

得点ボード。青コマが私、赤コマが妻、白がディルク。今回は私が勝利!ディルクにも完勝しました。
◎総評
最初に妻と遊んでみた時は、2人とも「…?」という感じでした。
ルールは簡単なのに、やたら時間がかかり(1時間ぐらい)、それでいて単調な気がするのです。
つまらない…という訳ではなく、それなりに面白いのですが、期待していたほどではなく、文字通り“それなり”の感じでした。
まだプレイ感がつかめていないのだろうと思って、すぐさま2回目のプレイを行ってみたのですが、やはり疑問符は消えませんでした(よって、最初の評価は「5:普通」ぐらいでした)。
その後、数回のプレイを経て、建物の並べ方のコツや得点パターンが理解できてプレイテンポがあがると、尻上がりに「面白い」と言えるようになりましたが、やはり『アルハンブラ』に慣れていないと、漠然としたプレイで街が伸び悩び、後半がややダレてしまう感があります。
このあたりは思ったより初心者向けではないような気がしましたね(多人数でやればもっと小さな街になるので、ライトにできるのかもしれませんが…)
また、以下は『グラナダ』だけの特徴なのですが、プレイして感じたのは「これは経済ゲームのしんどさだ」ということです。
例えば、自分だけ「市場」を5枚を集めても、たった5点にしかならないのですが、もし他のプレイヤーも4枚集めていれば、基本点が9点に跳ね上がるのです。
このあたり、株式などの投機で見られるような「人気があるものが高騰する」概念ですね。
更に他パターンとしては、自分以外の2人のプレイヤーが「学校」を9枚集めている場合、最終決算前に1枚だけ滑り込んで購入できれば10点が簡単に入ります。自分が1番多く集めている建物に1枚追加しても、たがが1x3=3点なのでこの違いは大きいです。
こんな「美味しい話に1枚かんでおく」感覚も、経済ゲーム的ですね。
このあたり確かに面白い要素ですし、ゲームシステムと相まってかなり綺麗にまとまっているのですが、「街を作る」ゲームと考えると、これはちょっと重すぎるシステムだと思います。
簡単に言えば、街を作ることより土地を使った投機をやってるように感じられるわけでして、そのあたり「ライトな街作り」を想像していたウチらには違和感があったのです。
また『アルハンブラ』にあった建物の個性がなくなり、枚数や得点が共通になったことで、数が多い建物に機械的に建築が集中するのも、街作りとしてはちょっと微妙かな、と感じました。
うーん。こう考えると、ウチら(特に妻のような非ゲーマー)にはやはり通常の『アルハンブラ』の方が合っていたのかもしれませんね。
ただ、文句をいいながらも、私はこの「経済ゲーム」なところが段々と楽しくなってきたので、やはり得点は7の「面白い!」をつけたいと思います。多人数で遊べば、また印象も変わってくるかもしれませんしね。
それに、水路の美しさと楽しさはピカ一! これだけは他ゲームでは味わえません。
最後になり恐縮ですが、このゲームの抄訳はドイツ語の勉強を兼ねて自分で行ったのですが、確認用や妻に見せるために、遥かに見栄えの良い「海長とオビ湾のカジノロワイヤル」さんのマニュアルを使わせていただいております。
ありがとうございました。
次回は、軽めのサイコロゲームとして「わいわいウシさん(Kuh & Co.)」を紹介します。
この記事へのコメント
アルハンブラ好きのわが家としては、非常に美しくなった
建物タイル(特に水路が良いですね!)とイメージが膨らむ
メインボードだけで目がハートですが、ただでさえ場所を取る
ゲームが、よりボリュームアップしてしまってますね・・(汗)
得点計算は、アルハンブラの方は少々確認が面倒だったので
こちらの方が若干処理が早そうに見えますが、いずれにせよ
他者の動向がつねに気になるシステムは気に入ってます♪
わが家でもディルクの暴走に手を焼いた思い出が・・・(笑)
建物タイル(特に水路が良いですね!)とイメージが膨らむ
メインボードだけで目がハートですが、ただでさえ場所を取る
ゲームが、よりボリュームアップしてしまってますね・・(汗)
得点計算は、アルハンブラの方は少々確認が面倒だったので
こちらの方が若干処理が早そうに見えますが、いずれにせよ
他者の動向がつねに気になるシステムは気に入ってます♪
わが家でもディルクの暴走に手を焼いた思い出が・・・(笑)
>タカさん
水路は本当に良いですね~。
正直、これだけでも手に入れたかいがあります。
ボードはやたらデカいですが、建物売り場の裏表を決める「奇数・偶数」マーカー(建築の左にある黒コマ)だけ何とかすれば、アルハンブラボードを流用できるんですよね。
ただ、このデカボードを使わないと、グラナダをやっている雰囲気が出ないという諸刃の剣ですが(笑)
得点計算はそうですね~。
建物ごとにバラバラの『アルハンブラ』より格段に楽だと思いますが、ゲーム中でも見通しが良くなった分、長考化しやすいところもありますね。
ウチらは適当プレイがモットーですが、それでも「この建物は場に何枚あるから何点で…」とか考えてしまいますから。
写真撮影時はディルクに圧勝しましたが、その後のプレイでは妻との足の引っ張り合いが要因で、見事に敗北しました。
ディルク侮りがたし…。
そういえば、最終得点を載せるのを忘れたので、「最終結果」に追記しました。
水路は本当に良いですね~。
正直、これだけでも手に入れたかいがあります。
ボードはやたらデカいですが、建物売り場の裏表を決める「奇数・偶数」マーカー(建築の左にある黒コマ)だけ何とかすれば、アルハンブラボードを流用できるんですよね。
ただ、このデカボードを使わないと、グラナダをやっている雰囲気が出ないという諸刃の剣ですが(笑)
得点計算はそうですね~。
建物ごとにバラバラの『アルハンブラ』より格段に楽だと思いますが、ゲーム中でも見通しが良くなった分、長考化しやすいところもありますね。
ウチらは適当プレイがモットーですが、それでも「この建物は場に何枚あるから何点で…」とか考えてしまいますから。
写真撮影時はディルクに圧勝しましたが、その後のプレイでは妻との足の引っ張り合いが要因で、見事に敗北しました。
ディルク侮りがたし…。
そういえば、最終得点を載せるのを忘れたので、「最終結果」に追記しました。
2010/06/04(金) 12:54:05 | URL | ぐんま #eL404qMA[ 編集]
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